都市伝説はこうして生まれる
皆様は都市伝説の誕生を目にしたことはあるだろうか。
私はついさっき目にした。
しかもなんとわたしの膣から出て、大きな産声をあげていた。
私は宅配のアルバイトをしている。
宅配距離は半径1.2kmと短く、その狭い中を車四台で駆けまわっている。
そのエリアの中では10分に1回はその車を見かけるほどだ。
私は少し遠くに住んで居るので毎日1600円ほど交通費を頂き、電車で通っている。
....ことになっている。
実際はバイト近くの友人宅などに泊まることもあり、その時はもちろん交通費なんてものは掛かっていない...がせっかくなのでお金は頂戴している。
....私の名誉のために言いたいが、このお金は決して私利私欲の為に使っている訳ではない。
募金をしているんだ。
貧困過ぎてガスが止まる事も少なくない22歳男性が生きていくための募金だ。
皆様も気が乗ったらこの募金に協力してくれたまえ
協力したいという方がいたら言っていただければいつでも私の口座を教えよう。
私は電車で遠くから来ているはずなので、バイト先からすぐ近くにある駅から歩いてくるはずだ。
駅とは違う方向をトコトコ歩いているはずがない。
だが歩いて居る。
現に今もトコトコ呑気なアホ面で鼻歌を轟かせ歩いている。
これがバレてしまうと大変怒られるに違いないので、
通勤中、私は大きなマスクで顔を隠している。
さすが私。小学生時に神童と崇め奉られていただけはある。
そして最近、バイト内で妙な噂を耳にした。
大きなマスクを付け、鮮やかな蛍光イエローの服を身に纏った、小柄な男性が鼻歌交じりにあるいているという目撃談が色んな人から上がっている。
バイト仲間は彼を蛍光色大マスク魔人と呼んでいるらしい。
勘と左乳首の感度のいい読者の皆様はもうお気づきのことと思うが
私こそが蛍光色大マスク魔人なのである。
噂というのはドンドンと盛られていくものであり、今日の魔人は
頭から角を生やし、
「散歩」を歌いながらきゅうりを括りつけた紐を引きずりながら歩き、
蛍光イエローの服には手書きマジックペンで『サムライブルー』と書きなぐられていた
という事になっていた。
もはや産みの親である私にも全く制御の効かないモンスターと化した魔人。
痛みを伴わない撃退方法が定まることを祈りつつ、
本日これまで
今週の渾身の一句
愛しさと
心強さと
切なさと