旅の備忘録

いつか自伝を書く時の為にメモ書き Twitter@tetsuzonshi

イカダ下り(後編)

 

友人を3人失いかけた。

 

皆様は友人が死にそうになってるのを見たことがあるだろうか。

僕は3人見た。しかもほぼ同時にみんな死にかけてた。

 

どういう感情になるか想像がつくだろうか。

怒り?違う。

悲しみ?違う。

 

性欲?いや、全然違う。

 

笑い…だ。

人が死にかけてると笑ってしまうのだ。

これは私が、おかしい奴だからではない。

目の前で死にそうな奴が居ると笑ってしまうように人間はプログラムされて居るのだろう。

 

事実、私が時速120kmで超高速三連続でんぐり返しをした時(有名な、aiko熱唱事件である)、骨が折れている私の横で友人(わかりやすく、サイコパス男と名付けよう)が高笑いしていた。

 

閑話休題

僕らの作った、竹だけでできた最高のイカダの話に戻ろう


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不安はあったものの川に浮かべてみると想像以上にちゃんと浮く。

成人男性5人がちゃんと浮く。安定感もバッチリ。

そりゃ3mの竹を33本も使えば5人くらい浮きますわ。

 

とはいえ少し怖いので予備にゴムボートをつけて出航。


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自分の身長より全然深い川を、こうも安全に渡れるものかと関心しながらのんびりと過ごす。

序盤はかなり楽だった。

まさに人生。

高校生、大学生くらいまではぬるぬると簡単に生きられる。楽しいだけの人生。


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「このまま東京湾まで行こう」

なんて言って川を舐めていたのも束の間。

 

濁流に襲われる。

写真が無いのが逆にその波の激しさの証拠だと思っていただけないだろうか。

五人で力を合わせてみたものの、

人間は自然にかなわないという事実をただただ思い知らされる。

実際とんでもない勢いの水流に5回ほど巻き込まれている。

 

これが人生に例えるなら就職か…

一生働かないでおこう…


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これは解体した後の竹の一部だが、

だいたいの竹がゴリゴリにすり減り、裂け、無残な形になっていた。

最後の方は三人分の浮力しかなかったので、どの二人を殺すかの会議をしていたが、

そういえば予備のゴムボートを持ってきていたので殺人犯にならずに済んだ。

 

ピンポン玉サイズの元気玉を作れる私が殺されるはずは無かったが、友人をこの手で亡き者にするのは気が引けるのでゴムボート製造業の方の居そうな方角に感謝の踊りをしておいた

 


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座礁したシーン。

この数分後、濁流に二人流されていった。

友人が本気(マジ)の顔をして必死に息をしている姿は運良く流されずに助かった私に生きている実感を授けてくれた。

 

ありがとう。一生忘れないよ。葬式ではmihimaru GTの曲をがんがんにかけて盛り上げとくからね。

 

結果二人とも無事だった。

爪が犠牲になったり、体中擦り傷だらけにはなっていたものの、命に別状はないようだ。

mihimaru GTは先延ばしになってしまった。

 

友人が死にかけている間、私だってなにもしなかった訳ではない。

 

頭をフル回転させた私は友人二人の犠牲は仕方がないものと考え、いったん岸に上がり、ものすごい勢いで流されていくイカダを全力で追いかけていた。

ビーチフラックよろしく、飛びついてイカダをなんとか回収。

 

…「回収出来なければもう終了する言い訳が出来るのに…」

という雰囲気が全員から出ていたが、取れちゃったんだもの…

 

これは事あるごとに言っているのだが、

私は中学生の頃、当時まだ小学生だったサニブラウン・ハキーム君(弟の友人で、私も仲が良かった)にビーチフラックで勝ったことがあるのだ


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成長期を迎えてない人間と迎えた人間との差を見せつけてやった。

(私は特に足が速い方だった訳ではない。

勿論、現在100mを10秒05で走る、陸上選手となった彼の3倍は遅い)

 

 

もういやだ。もういやだ。

と今にも言いそうな友達とまたイカダに乗り込み、川を下っていく。

さっきまでの荒れた川はどこに行ったのか。

という程の穏やかな流れ。

 

おそらく余生。もしくはここは三途の川か?

死後なのか?

 

そしてバーベキューをしてる子供とかに手を振られながらゴール
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もう二度とイカダは作らないと口々に言っていた友人らだが、絶対に来年もやる。

次はこっそり空飛ぶ機能を付けようか。

 

そんなこんなで今回これまで

 

川下り川柳

 

 

成人し

  ケガする事さえ

       懐かしい

 

以上!

相田みつをから一言。)
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