いきなり出来た
いきなりステーキが、出来た
突然に。
つい昨日の深夜まで最寄りの駅だった場所にいきなりステーキがある
線路も踏切も跡形もなく消え去っている。
まるで電車という文明など無かったかのように堂々といきなりステーキが建つている。
遅刻は免れまい。
会社に連絡せねばとスマホを取り出そうとするが、無い。今までスマホだった長方形は、いきなりステーキに成つている。
熱い。ジウジウと煙を吐いている。
心なしか町全体がステーキスメルで満たされている気がする。
熱い。熱い。冬だと言うのに焼かれるように熱い。
つい2秒前までコンクリートだった部分が鬼のように熱い。
街路樹だと思っていた物は付け合わせの野菜になっている。
しょっぱい雪が振ってくる。
巨大な何かに町全体が見つめられているような気分に襲われ、目眩がして倒れ込む。
2018年も、そろそろ終わる。