旅の備忘録

いつか自伝を書く時の為にメモ書き Twitter@tetsuzonshi

不幸屋さん

あるところに、料理の腕に自信のあるシェフが居た。

料理の腕は確かだったのだが、立地が悪かったのもあり、彼の店はあまり繁盛してるとは言えなかった。

生活に困った彼はとんちをきかせ、

看板に「不幸売ってます。」と掲げて店を開けた。

 

開店してしばらく立つと小太りの男性とメガネの細長い男性が入って来た。

 

それぞれカウンターに通し、注文を取る。

二人とも看板メニューである、パスタの不幸添えを頼んだ。

 

店主は腕を振るい、美味しいパスタの大盛を一つ、もう一つのパスタは、店の雑用係に適当に作らせた。

 

出来上がった大盛のパスタをメガネの客に。

あまりおいしくないパスタを小太りの客に差し出した。

 

 

どこに不幸がかかっているの?と聞いてきた

メガネの客に耳元で

「あなたのだけ大盛にしました。それに、あのデブの食べてるパスタは雑用の作った、あまり美味しくないものです」

小太りの客にも耳元で

「実は私はあまりパスタが得意では無いので、お客様のは少なめにしました。

隣のガリガリにはマズいパスタを大量にだしてやりました

もちろんお客様は、少なめなのでメニューの代金の半額で結構です」

 

二人は互いに他人の不幸を見て、満足気に食事を続けた